高校進学の費用一覧|無償化でもかかるお金を公立・私立・通信制で比較
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「高校は無償化されたはず」なのに、実際には入学前後にまとまった現金の出番が続きます。理由ははっきりしていて、無償化(高等学校等就学支援金)が支援するのは授業料だけだからです。
結論を先にまとめます(2026年7月時点)。
- 無償化でゼロになるのは授業料のみ。受験料・入学金・制服・教材・通学定期・部活・修学旅行の積立は対象外です
- 文部科学省の調査では、高校生1人にかかるお金は公立で年約59万7,000円、私立で年約117万9,000円(塾代などを含む)
- 入学初年度は特に重く、公立約70万円・私立約139万円。私立は入学金だけで全国平均16万5,898円です
「無償化」でカバーされる範囲を最初に確認
2026年4月から所得制限が撤廃され、就学支援金は全世帯が対象になりました。支給上限は公立が年11万8,800円(授業料と同額)、私立の全日制が年45万7,200円、私立の通信制が年33万7,200円です(文部科学省)。
大切なのは、就学支援金が「授業料に充てるお金」として学校に支払われる仕組みだという点です。授業料以外の費目には充てられず、また申請しないと支給されません。制度の中身と申請の流れは就学支援金の制度内容と手続きの記事で整理しています。
高校でかかるお金の全体像:公立年約60万円・私立年約118万円
文部科学省「子供の学習費調査(令和5年度)」によると、1年間にかかる学習費の平均は次のとおりです(塾・習い事などの学校外活動費を含む。金額は令和8年1月修正後の値)。
- 公立高校(全日制):年59万6,954円(うち学校教育費35万1,523円)
- 私立高校(全日制):年117万9,261円(うち学校教育費83万2,650円)
内訳を見ると「無償化なのにお金がかかる」の正体が見えてきます。公立の学校教育費で最も大きいのは授業料ではなく、定期代や制服を含む通学関係費の年9万7,634円です。図書・学用品6万2,284円、部活動など教科外活動費4万9,499円、修学旅行費等3万6,500円と続きます。
さらに学年別では第1学年が突出します。公立70万240円・私立139万2,712円と、入学準備の出費が集中するため、2・3年生より公立で十数万円、私立で30万円以上多くなります。
なお、この調査は無償化拡充前の令和5年度のものです。私立の授業料負担分は、2026年度からの支援拡充で下がる見込みです。
入学までにかかるお金:受験料・入学金・制服・教科書
受験料は公立と私立で桁が違います。都立高校の入学考査料は2,200円、入学料は5,650円です。一方、私立は東京都の集計で受験料(検定料)の平均が2万3,764円。私立を2校受ければ受験料だけで約4万8,000円、3校なら7万円前後になる計算です(平均額での単純計算)。
私立の入学金は全国平均16万5,898円(令和6年度)。学校の多い東京都では平均25万4,599円とさらに高く、施設費などを合わせた初年度納付金は平均100万7,549円です。入学金は就学支援金の対象外で、合格発表後の短い期限で納める必要があります。
制服・教科書などの入学準備品は、都立葛西南高校が公開している例(令和4年度の計画額)が参考になります。制服一式が男子4万3,650円・女子4万3,890円、体育着1万1,250円、教科書・補助教材が約2万円、学習用端末3万円。合格から入学までに男子で約13万8,000円と案内されています。小売物価統計を集計した情報サイトによると、学生服(詰め襟・上下)の全国平均価格は4万259円(2026年3月)と、10年前より約9,000円上がっています(一次資料は総務省統計局の小売物価統計調査)。
公立と私立で迷っている段階なら、私立高校と公立高校の違いを整理した記事もあわせてどうぞ。
入学後に毎年かかるお金:通学定期・部活・修学旅行の積立
入学後も、授業料以外の支出は毎年続きます。学習費調査の平均では次のとおりです。
- 通学関係費(定期代・制服の買い足しなど):公立9万7,634円/私立13万6,790円
- 部活動など教科外活動費:公立4万9,499円/私立6万3,440円
- 修学旅行・遠足・見学など:公立3万6,500円/私立6万2,778円
修学旅行は多くの高校で「積立金」として月々徴収されます。先ほどの都立高校の例では、行事・教材・修学旅行費などの学年積立金が1年生で約5万円、2年生で約10万円です。授業料が実質0円でも、毎月の口座振替は続くと考えておくと実態に合います。
こうした授業料以外の負担には、住民税非課税世帯などを対象とした国・自治体の支援もあります。対象になるかどうかは奨学給付金など授業料以外の費用を支援する制度の記事で確認できます。
公立・私立・通信制|初年度費用の目安を比較
| 公立(全日制) | 私立(全日制) | 私立通信制 | |
|---|---|---|---|
| 受験料 | 2,200円(都立の例) | 平均2万3,764円(都内私立) | 学校により異なる |
| 入学金 | 5,650円(都立の例) | 全国平均16万5,898円 | 1万円(N高の例) |
| 授業料(支援金適用後) | 実質0円 | 上限45万7,200円まで支援・超過分は自己負担 | 上限33万7,200円まで支援 |
| 制服・体操服 | 約5万5,000円(都立の例・男子) | 学校指定・学校により異なる | 購入任意の学校が多い |
| 教科書・教材・端末 | 約5万円(都立の例) | 学校により異なる | パソコン等が実質必須 |
| 通学定期など通学関係費 | 年9万7,634円(平均) | 年13万6,790円(平均) | 原則不要(スクーリング交通費は自己負担) |
| 部活・修学旅行など | 年約8万6,000円(平均) | 年約12万6,000円(平均) | 参加は任意 |
| 初年度の目安 | 約70万円(学習費総額) | 約139万円(学習費総額) | 実質年7万3,000円〜(N高公式目安) |
公立・私立の「初年度の目安」は塾代などを含む学習費総額(令和5年度・無償化拡充前)です。通信制は学校差が大きいため、公式サイトが実質負担の目安を公表しているN高等学校を代表例にしました。通信制は通学定期が不要になる代わりに、年数日のスクーリングの交通費(本校が遠方なら宿泊費も)がかかります。費目の内訳はN高等学校の学費と実質負担の記事で詳しく整理しています。
よくある質問
公立高校なら、お金はほとんどかからないのでしょうか。 かかります。平均では塾代などを含めて年約59万7,000円、第1学年は約70万円です。授業料が実質0円でも、制服・定期代・部活・修学旅行の積立といった支出は残ります。
私立の「授業料実質無償」でも払うお金はありますか。 あります。入学金(全国平均16万5,898円)や施設整備費等(同15万7,232円)は支援の対象外です。また授業料が上限45万7,200円を超える学校では、超えた分も自己負担になります。
入学しなかった併願校に入学金を払うことはありますか。 あります。公立の合格発表前に私立の納付期限が来る場合などです。延納・返金の扱いは学校で差があるため、募集要項で必ず確認してください。
通信制高校なら費用を大きく抑えられますか。 授業料は年33万7,200円まで支援されるため、抑えやすい構造です。ただしスクーリングの交通費・宿泊費やパソコンは自己負担で、通学コースを選ぶと費用は大きく変わります。N高のネットコースと通学コースの違いの記事で比較しています。
まとめ:「授業料の無償化」と捉えて初年度に備える
- 無償化の対象は授業料のみ。受験料・入学金・制服・定期・部活・積立は残る
- 公立でも平均年約59万7,000円、初年度は約70万円。私立は初年度約139万円
- 私立の入学金は全国平均16万5,898円。合格直後の短い期限で必要になる
- 通信制は授業料支援(上限33万7,200円)で実質負担を抑えやすいが、スクーリング費用は別
進学先そのものを検討中なら、通信制高校と全日制の違いの記事も参考にしてください。制度や金額は毎年のように変わります。最新の情報は必ず文部科学省・自治体・各学校の公式案内で確認してください。
出典: 文部科学省 令和5年度子供の学習費調査(令和8年1月修正値)/ 文部科学省 令和6年度私立高等学校等初年度授業料等の調査/ 文部科学省 高等学校等就学支援金制度(新制度の概要・支給限度額)/ 東京都 令和8年度 都内私立高等学校(全日制)の学費の状況/ 東京都立葛西南高等学校 入学から卒業までの費用(令和4年度)/ 総務省 小売物価統計調査による学生服価格の推移(日本の物価)/ N高等学校 ネットコース(実質負担の目安)/ 塾選ジャーナル N高等学校の学費(入学金等の内訳・参考)