地方と都会の高校進学の違い|学校数・私立比率・通学時間を統計で比較
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「高校選び」の前提は、住んでいる地域によって大きく違います。先に全体像を数字でまとめます。
- 高校(全日制・定時制)の数は、東京都430校に対して鳥取県・福井県は32校。13倍以上の開きがあります
- 私立に通う生徒の割合は、東京都57.6%に対して徳島県4.0%。「私立併願が当たり前」の地域と「公立が第一志望の前提」の地域に分かれます
- 平均の通勤・通学時間はむしろ首都圏のほうが長く、地方の課題は時間よりも「選べる学校の少なさ」にあります
- 住む場所を選ばない通信制高校の生徒は30万5,197人と初めて30万人を超え、高校生のおよそ10人に1人になりました
この記事は2026年7月時点の公開統計(文部科学省「学校基本調査」令和7年度確定値など)をもとに、地域による高校進学の違いを中立に整理します。
高校の数は都道府県で13倍以上違う
学校基本調査(令和7年度確定値)によると、全国の高等学校(全日制・定時制)は4,761校です。最も多い東京都が430校、大阪府245校、神奈川県227校と続く一方、最も少ない鳥取県と福井県は32校、徳島県も36校です。
| 高校数(全日制・定時制) | うち私立 | 私立に通う生徒の割合 | |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 430校 | 237校 | 57.6% |
| 大阪府 | 245校 | 94校 | 46.2% |
| 北海道 | 268校 | 51校 | 27.0% |
| 鳥取県 | 32校 | 8校 | 26.4% |
| 徳島県 | 36校 | 3校 | 4.0% |
| 全国 | 4,761校 | 1,320校 | 34.7% |
学校数は減少が続いており、令和7年度も全国で前年度より13校減りました。地方では統廃合により、通える範囲の学校がさらに絞られる傾向があります。また北海道のように学校数自体は多くても、広い地域に分散しているため、住んでいる市町村によっては現実的な選択肢が数校しかないケースもあります。
私立の選択肢の差が「受験の文化」の差になる
全国の高校のうち私立は1,320校(27.7%)ですが、地域差が非常に大きい数字です。東京都は430校中237校(55.1%)が私立なのに対し、徳島県の私立高校(全日制・定時制)は3校しかありません。
生徒の側から見ると差はさらにはっきりします。私立に通う生徒の割合は全国平均34.7%。東京都は57.6%と半数を超え、大阪府も46.2%ある一方、徳島県は4.0%、沖縄県は7.3%、秋田県は10.8%です。
私立が多い都市部では、公立と私立を併願して合格を見てから選ぶ進め方が一般的になりやすく、模試や入試日程もそれを前提に組まれています。逆に私立が数校しかない県では、公立を第一志望とする進路指導が中心になります。どちらが良い悪いではなく、受験の前提そのものが地域で違うという点は、転居や志望校検討のときに見落とされやすいポイントです。
費用やカリキュラムなど設置区分による違いは私立高校と公立高校の違いの整理にまとめています。なお授業料については就学支援金の拡充で公私の差が縮まりつつあり、申請の流れは高校無償化の申請手続きと必要書類で確認できます。
通学時間は「地方のほうが長い」とは限らない
意外に思われるかもしれませんが、平均の通勤・通学時間は首都圏のほうが長い、というのが統計の示す姿です。総務省の令和3年社会生活基本調査では、通勤・通学をしている人(10歳以上)の平日1日当たりの通勤・通学時間は全国平均1時間19分。最も長いのは神奈川県の1時間40分で、千葉県・東京都の1時間35分、埼玉県の1時間34分と首都圏が上位を占めます。短い側は宮崎県・山形県の56分、愛媛県の57分、鳥取県の59分でした。
高校生だけを取り出した全国統計は見当たらないため、これは社会人も含めた平均値です。それでも「地方=通学が長い」という単純な図式ではないことは読み取れます。地方の通学の課題は、平均時間よりもむしろ次の2点です。
- 近くに選べる学校が少なく、学力や学びたい内容に合う学校を選ぶと遠距離通学になりやすい
- 電車やバスの本数が少なく、部活動後の帰宅や悪天候時の代わりの手段が限られる
都会は選択肢が多い分、混雑した電車での長時間通学になりやすい。地方は平均時間こそ短くても、選択肢と交通手段が限られる。負担の形が違うと捉えるのが実態に近いといえます。
通信制・ネットの高校が地域差を埋めつつある
「住んでいる場所で選択肢が決まる」という前提を変えつつあるのが通信制高校です。学校基本調査(令和7年度確定値)では、通信制高校の生徒数は30万5,197人。前年度より1万5,110人増えて初めて30万人を超え、過去最多を更新しました。全日制・定時制と合わせた高校生全体に占める割合は約9.6%、およそ10人に1人です。学校数も333校と前年度から30校増えています。
私立の広域通信制(いわゆるネットの高校を含む)は、オンラインの授業とレポートが学びの中心で、全国または複数の都道府県から入学できます(募集区域は学校ごとに定められています)。統計上、通信制の生徒は本校がある都道府県に計上されるため、大規模校の本校が置かれた茨城県(約3.7万人)や沖縄県(約2.2万人)に生徒数が集中していますが、これは裏を返せば全国から生徒が集まっていることの表れです。
地方在住で「近くに合う高校がない」という場合、通信制は地理的な制約を受けにくい選択肢になります。卒業要件や学校生活が全日制とどう違うかは通信制高校と全日制高校の違いの比較で整理しています。
地域別・高校選びで確認したいこと
地方在住の場合
- 通学手段と所要時間:電車・バスの本数、冬季や災害時の代替手段
- 併願の選択肢:公立中心の受験になる場合、私立や通信制を組み合わせられるか
- 遠方の学校を選ぶ場合:寮・下宿の費用も含めた総額。受験から入学までの費用は高校進学にかかる費用の内訳が参考になります
都市部在住の場合
- 併願日程の設計と受験料の合計
- 私立は授業料以外の納付金(入学料・施設整備費など)まで含めた見積もり
- 通学時間:選択肢が多い分、片道1時間超の通学になっていないかの確認
よくある質問
地方には私立高校が少ないのはなぜですか。
私立高校は生徒数の多い都市部に集中する傾向があり、結果として東京都237校に対し徳島県3校という大きな差になっています(令和7年度学校基本調査)。志望地域にどんな学校があるかは、e-Statで公開されている学校基本調査の都道府県別データで確認できます。
通信制高校は地方からでも入学できますか。
広域通信制は全国(または複数の都道府県)から生徒を募集しており、地方からも入学できます。ただし最低でも年数日のスクーリング(対面指導)はどの学校にもあり、日数や形式は学校・コースで大きく異なるため、会場の場所・日数・宿泊の要否を募集要項で確認してください。
高校生の通学時間の平均はどのくらいですか。
高校生に限定した全国の公的統計は確認できませんでした。参考値として、通勤・通学をしている10歳以上の人の平日1日当たりの通勤・通学時間は全国平均1時間19分で、都道府県別では56分から1時間40分まで差があります(令和3年社会生活基本調査)。
地方から都市部の高校を受験できますか。
公立高校は居住地や学区の要件が都道府県ごとに定められており、転居を伴わない越境受験は認められない場合があります。私立には全国募集の学校もありますが、寮の有無などの条件は学校ごとに異なります。各教育委員会と学校の公式情報で要件を確認してください。
まとめ:地域差を知った上で、場所に縛られない選択肢も視野に
- 高校数は東京都430校に対し鳥取県・福井県32校と13倍以上の差があり、全国の学校数は減少傾向が続く
- 私立に通う生徒の割合は東京都57.6%、徳島県4.0%。私立併願の文化と公立優位の文化の背景には、実際の学校数の差がある
- 平均の通勤・通学時間はむしろ首都圏が長い。地方の課題は「選べる学校の少なさ」と「交通手段」
- 通信制高校は30万人を超えて高校生の約10人に1人となり、住む場所に縛られない選択肢として地域差を埋めつつある
本記事の数字は2026年7月時点の公開統計(令和7年度学校基本調査確定値・令和3年社会生活基本調査)に基づきます。制度や各校の募集内容は年度ごとに変わるため、検討の際は文部科学省・各都道府県・各校の公式情報で最新の内容を確認してください。